2008年2月9日土曜日

伝統の逆襲


日本の歴史的建造物や工芸品をみていると、
日本人のデザインセンスはすばらしく洗礼されていたのだと感じる。
西洋のデザインは、装飾を施して飾り加えるのに対し、日本のものは余分な要素をそぎ落として、シンプルなもの作りをしているからである。
現代においてセンスが良いデザインと一般的に受け取られるのは、後者-要素を極限まで削ぎ落としたシンプルなデザインの方だ。日本が昔からこの美的感覚を持っていたというのは、すばらしい事だと思う。

本書では、相手の心を考え、思いやりをもてることも日本人のすばらしい点だと述べられている。仕事において、特にお客様相手の場合は、相手の立場を考えられるかどうかが重要である。この特質をいかせるならば、日本人は世界の中でもっと活躍していけるということになる。さらにそこで述べられているのが、コミュニケーション能力を身につけるというと。
日本人は思った事をはっきり口にする事が苦手だとよくいわれますが、世界で仕事をしていくには、考えている事を言葉で相手に伝える、コミュニケーション能力がより重要となるという事です。

以下、自分のポイント⇩

・「必要がないもの」というと、資源を無駄なゴミにするものと思われるかもしれないが、それは逆だ。日本のような国は、もう「必要だから仕方なく買うもの」をつくってはいけない。
過剰供給を承知で、「もの」と作り続ける大量生産は、経済活動としては合理的かもしれないが、資源をゴミにかえる理不尽な行為に他ならない。人間の社会にも地球環境にとっても許される事ではない。

・日本人は、真似をせずに盗んで、完全に自分のものにしてしまう事ができる。

・(ヨーロッパの自動車作りは職人が生産ラインに入り、開発と生産を一緒に行っていく。初期の製品から完璧な品質を望むのは難しく、デビュー後にすこしづつ改良していく。少し前までの外国車は立て付けやワイパーの不具合など、細かな問題が次々と起きたが、それらを修理すれば10年以上快調に乗れると言われていた。日本車は新品に不具合がないが3〜4年で乗り換える)
日本の場合、安全性や信頼性、品質のばらつきのなさという点では完成されている。不足しているのは「どうしても欲しくなる」という部分、たとえば官能的なエンジンであったりスタイリングだったり、その車のもつ物語性といったこと。

・(シンプルさの追求)切り捨てるためには、自分のビジョンが明確になっていることが絶対の条件である。シンプルで使いやすい「もの」を作るには、強力なコアになる部分があって初めて、他を「切り捨てる」価値が出てくる。

・(大量生産のシステムは様々な人種が住むアメリカ社会で生まれたもの、どんな人が作業をやっても、一定の水準の製品を多量に作れる仕組み。「ものづくり」は、その国に固有の事情や文化を背景に、特質が決まるもの)すぐれた職人や現場の人間が多豊富にいる国なら、その必要はない。流れ作業のラインを作らずに同じ人間に最初から最後までやらせた方が適合する。

・クリエイターとしての第1歩は、自分が何が好きで、何が嫌いかを知っている事、すなわち自分を良く知っている事。

・「想像力(思いやり)」と「犠牲心」は日本人の非常に大きな特徴。
必要とされるコミュニケーション能力を身につけたとき、すでに「想像力」や「犠牲心」を身につけている日本人の活躍の場は大きく広がるに違いない。

・自分の将来の為に、しばらく我慢して自己投資することをよしとする。

・要素を切り捨てて研ぎすましていく中に。美を見出すのが日本文化の特質。
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・「お客様のクレームはアイデアの宝庫」などといわれるように、問題発生を契機に大きな飛躍が生まれる事は多い。ところが、「ものづくり」をしながら、問題も事件も生じず大過なく過ごしているうちに、気がつけばいつのまにか低空飛行、という事が増えてきた。問題に対して受動的に対処しているだけでは、問題が発生しなければ解決能力は低下する。問題がないのなら、意図的に想像しなければいけない。